
ISO 17025(試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項)におけるリスクと機会の考慮は、試験所の品質マネジメントシステムを効果的に運用し、継続的な改善を推進するために重要です。以下のような視点からリスクと機会を特定・管理することが求められます。
1. リスクと機会の特定
ISO 17025では、リスクを低減し、機会を活用することで、試験所の能力向上や信頼性の確保を目的としています。主なリスクと機会の例は以下の通りです。
(1) 技術的リスクと機会
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リスク
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測定機器の故障や校正不良による試験結果の不確かさ
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試験手順や方法の誤りによるデータの不正確性
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試験担当者のスキル不足や教育訓練の不十分さ
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機会
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新しい試験技術や分析手法の導入による精度向上
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自動化技術の活用による効率改善
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外部認証の取得や能力向上による顧客信頼の向上
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(2) 品質マネジメントに関するリスクと機会
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リスク
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手順書の不備や更新漏れによる試験の不適合発生
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内部監査の不足による不具合の見落とし
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文書管理の不適切によるトレーサビリティの欠如
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機会
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継続的改善活動(PDCA)による品質向上
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デジタル管理システムの導入による業務効率化
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ベストプラクティスの共有による組織全体の能力向上
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(3) 組織運営に関するリスクと機会
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リスク
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競争激化による顧客減少
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人材の流出や試験所のノウハウ喪失
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規制変更への対応遅れによるコンプライアンス違反
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機会
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市場の新しい需要に対応したサービス展開
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試験の認定範囲拡大による新規顧客獲得
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外部機関との連携強化による技術力向上
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2. リスクと機会の管理
ISO 17025では、リスクを最小限に抑え、機会を活かすための適切な管理策を求めています。
(1) リスクマネジメント手法
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FMEA(故障モード影響解析): 試験プロセスの潜在的な失敗モードを分析し、影響を評価
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SWOT分析: 試験所の強み・弱み・機会・脅威を分析し、戦略を立案
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ヒートマップ: リスクの発生頻度と影響度を可視化し、優先順位を決定
(2) 機会の活用戦略
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定期的な市場調査や顧客ニーズの把握
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新技術や自動化ツールの積極的な導入
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社員教育や技術研修の充実によるスキル向上
3. ISO 17025の要求事項と適用
ISO 17025:2017では、特に以下の条項でリスクと機会に関する取り組みが求められています。
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7.8.6.1(試験結果の確証): 測定の不確かさの評価を行い、リスクを低減
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8.5(継続的改善): リスクを識別し、機会を活用することで試験所のパフォーマンスを向上
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8.6(是正処置): 不適合が発生した場合に、根本原因を特定し、リスクを最小化
まとめ
ISO 17025におけるリスクと機会の管理は、試験所の品質向上、信頼性の確保、持続的な成長に直結します。リスクを的確に把握し、適切な管理を行うことで、試験所の競争力を高めることができます。